契約以上の仕事を押し付けられるようになって退職

中規模の人材派遣会社に登録して事務職として働いていました。何社か派遣先を変わることはありましたが、おおむね契約どおりの業務内容で大きな問題もなく契約を更新して働いていました。そんな頃、ある専門商社に派遣されることとなり、いつもどおりの契約書を交わしたあと勤務を始めました。

いわゆる一般事務派遣という形で勤務時間も9時から5時までの原則残業ナシということだったので、前と同様に勤めればいいのだと思っていました。実際会社へ通うようになった当初は、多少の残業はありましたが、これも仕事を円滑に進めるためだと考えられる範疇だったので、余り気になることもなく人間関係もとりたてていうほど困ったこともなくきわめて平穏に仕事をこなしていました。ところが、書類整理や作成中の雑談で、私が外大を卒業後に台湾や中国に留学経験があるということを話したところ、急にそれまでの総務から営業部のほうに配置替えになり、要求されるしごとがどんどん変化していくようになってしまいました。

しかし、それも「忙しいときは(取引先の中国人顧客からの)電話に出て」とか「ちょっと中国語のメール訳してくれないかな」とか言われているうちはこれも自分がうっかり口を滑らせたことのツケだから仕方ないかとあきらめるようにしていたのですが、どんどん会社や社員の方からの要求がエスカレートするようになってしまい・・。

結構な金額になる取引の契約書の原案をまとめるように、とか船荷の保険や破損に関してのクレーム処理を丸投げされるようになっていったのには正直まいってしまいました。凡ミスをすれば「責任がとれもしないくせに半端な仕事をしないでくれ」とののしられるし、それならば、と「この仕事は私には荷が重いので無理です」と断ると「使えない派遣だ。いくらでも替えがいる立場がわかっていないなんて身の程知らずだ」と言われる始末。

その一方で契約どおりの書類仕事は全部以前同様にこなすように言われ、定時どころか3時間程度の残業は当たり前になってしまい、精神的にも身体的にも追い詰められていっぱいいっぱいになり、不眠や食欲不振になった時点で、「これはまずい」と思うようになりました。

その時点で契約期間があと2ヶ月残っていたのですが、月曜の朝に自分の顔を鏡で見たとき、げっそりとした顔色の悪さに自分ながらゾッとし、「正社員でもなく福利厚生の保障も何もないのにここまで滅私奉公する義理はない。自分は自分で守らなくては」と思い定めて、その日の仕事を休み派遣会社に相談に行きました。

派遣会社の担当は私が会社内で配置転換になったことは把握していましたが、その後の仕事の実態はまったく関知していなかったので、私からの抗議を受けてかなり驚いていたようでしたが、とりあえずその場では「派遣先(商社)と話し合ってみる」と言われ帰宅することに。

次の日おそるおそる出社してみると、すぐに会議室に呼び出され、営業部の課長・部長と派遣会社の担当者、私三者での話し合いがもたれました。ところがこれで少しは改善されると期待した気持ちはあっという間に裏切られ、課長・部長からは「(私が申し立てたような)仕事はさせていない」「むしろ頼んでもいない仕事に首を突っ込まれて迷惑している」と言われ、派遣会社の担当者まで訳知り顔で「それはどうもすみませんでした。たまにいるんです、そういうスキル自慢のひとが」と私がその場にいないかのように悪口めいたことを言い出す有様でした。

結局その場では何の解決策も出ず、むしろ「金銭的に不満だからこういうことを言い出すのなら時給を上げてやればいいんだろう」と言う風にいわれるにいたり私の堪忍袋も切れ、その日の仕事を終えた後、以前から評判を聞いていたNPOに連絡をとり、次の日にそのNPOのスタッフと一緒に派遣会社へ。最初のうちは派遣先もとぼけていましたが、私が何部か作成させられた書類の下原稿や付き合わされた取引先の接待の席での写真を保存していたのでそれが証拠になり、まずまず円満な形で辞めることができました。

派遣会社とはこれがきっかけで縁を切りましたが、ある意味自分の語学が使えるスキルなのだと再確認できたので、それを生かしてそうしたスキルに特化した派遣会社に登録しなおし、正当に評価してくれる派遣先で仕事をしています。いろいろ嫌な思いも大変な思いもしましたが、この経験を生かしていけるようにしていきたいと思ってがんばっています。